令和8年度の診療報酬改定では、医療DX・ICT連携の推進が明確な方向性として示されました。でも、システムを入れれば終わりではありません。伝わって初めて、価値になります。
「電子処方箋を導入しました」「オンライン資格確認に対応しました」——こうしたお知らせが院内の掲示板やホームページに載ることがあります。しかし患者さんの立場から見ると、それが自分にとって何を意味するのか、どう便利になるのか、よく分からないまま受け取っていることが少なくありません。
令和8年度診療報酬改定では、医療DXやICT連携を活用する医療機関・薬局の体制評価が基本方針に盛り込まれ、電子的診療情報連携体制整備加算の新設が示されました。また、電子処方箋や救急時医療情報閲覧機能の活用促進も方向性として明示されています。
システムの導入は「スタート地点」にすぎない
医療DXの取り組みは、院内の業務効率化や情報共有の精度向上につながります。ただ、それが患者さんの体験改善や、地域医療機関との連携強化につながるためには、「何がどう変わるのか」を分かりやすく伝える必要があります。
医療DXの価値は、院内システムが整ったときではなく、患者さんや地域医療機関がその変化を実感したときに生まれます。
患者さんにとっては、「オンライン資格確認で、窓口での手続きが速くなった」「電子処方箋を使うと薬局でもスムーズに対応してもらえた」といった具体的なメリットが伝わることが重要です。また、地域の医療機関にとっては、「紹介状の送受信がどう変わったのか」「電子的な情報連携でどう連携しやすくなったのか」が分かることで、機能が本当に活かされるようになります。
ホームページに求められる役割の変化
これまで病院のホームページは、診療科の案内や外来受付時間、アクセスマップなど、「調べたいことを調べる」ための場所として機能してきました。しかし医療DXが進む今、ホームページはそこに留まらず、病院の取り組みを可視化し、価値を届ける場所へと役割が変わりつつあります。
たとえば、次のような情報をホームページで丁寧に整理するだけで、患者さんや地域医療機関からの信頼は大きく変わります。
電子処方箋や各種デジタル対応について、患者さん向けに分かりやすく説明したページ
ICT連携の仕組みと、地域医療機関との情報共有体制を示すコンテンツ
救急時の医療情報閲覧機能など、安心につながる取り組みの紹介
医療DXへの対応状況を、スタッフ目線・患者目線それぞれで整理した説明
「取り組んでいる」を「伝えている」へ
診療報酬の加算要件を満たすことと、それを院外に伝えることは、まったく別の話です。加算が取れても、患者さんや地域に伝わらなければ、病院の評価としては活かしきれません。令和8年度改定を機に、医療DXの取り組みをどう「見える化」していくかを、広報の視点から整理することが求められています。
POINT
医療DXの広報は「難しいことを簡単に伝える」翻訳力が鍵。患者さんが感じるメリット、地域医療機関が知りたい連携の実際——それぞれの視点でコンテンツを設計することが重要です。
次回は、外来機能分化と地域連携の広報について考えます。紹介・逆紹介の流れや、地域連携室の役割をどう伝えるかは、医療機関同士の信頼構築にも直結する話です。
自院の医療DXの取り組みを、患者さんや地域にどう伝えるか。
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