2025年、医療機関の倒産・休廃業が過去最多を更新。全病院の74.6%が医業赤字というデータが示す、中規模病院が今すぐ向き合うべき現実。



1「うちは大丈夫」が最も危ない
倒産した病院はすべて「経営が悪い病院」だったのか。答えはノーです。コロナ禍の補助金・ゼロゼロ融資によって一時的に経営が安定した多くの病院が、その返済期を迎えながら物価高・人件費高騰という新たなコストの波に直面しています。
2020年、コロナ関連支援策によって病院・クリニックの倒産は一時的に半減しました。しかしその後は増加の一途をたどり、2025年には医療機関全体で66件・休廃業823件の計889件が「消えた」年となりました。
2 過去最多を更新した「66件」の内訳
帝国データバンクの調査によると、2025年の医療機関の倒産66件・休廃業解散823件はいずれも過去最多を更新しました。10年前(2015年)の359件と比べると倒産+休廃業の合計は2.5倍近い水準です。
特に深刻なのが中堅規模の病院です。2025年上半期だけで病床20床以上の病院の倒産が前年同期の2.6倍に急増。従業員50〜300人規模の病院での倒産が突出して増えており、地域医療を支える基盤が揺らいでいます。
倒産主因の72.7%を占めるのが「収入の減少(販売不振)」です。つまり患者が来ないのではなく、「収益が上がっても費用がそれを上回る」という構造的な問題が根本にあります。
3 増収なのに減益——「はさみ状態」の正体
多くの病院で「患者数は戻ってきた、収益も上がっている、なのに手元が苦しい」という感覚があるはずです。これは正しい感覚です。2024年度、全病院の医業収益は前年比+2.8%と増収でした。しかし費用の増加はそれを上回るペースで進み、「増収減益」が固定化しています。
診療報酬は国が定める公定価格であり、物価や人件費が上昇しても病院側が自由に価格を上げることはできません。これがコスト上昇との「はさみ状態」の本質です。2024年度の診療報酬改定による増収効果はわずか+1.9%。人件費・材料費・光熱費の上昇+2.6%以上に到底追いつきません
4 150〜300床が最も「谷間」に置かれている理由
大病院(500床以上)は高度急性期の診療報酬加算を取得しやすく、1床あたりの収益効率が高い。クリニック・診療所は固定費(病床・病棟)が少なく身軽に経営できます。その間に挟まれた150〜300床の中規模病院は、固定費は大きい一方で高単価加算の取得が難しく、採用競争では大病院・都市部に看護師が流出しやすいという「谷間」の構造に置かれています。
実際のデータでも、200〜299床・300〜499床の規模帯は医業利益率・経常利益率ともにマイナスという結果が出ています。中規模病院が経営改善を図るうえで、コスト削減だけでなく「選ばれる病院になること」が不可欠な理由がここにあります。
5 「選ばれる病院」だけが生き残る——経営改善の本質
コスト削減には限界があります。では何が持続可能な経営改善につながるのか。それは「患者と職員の双方から選ばれる力を高めること」です。
看護師が「ここで働き続けたい」と思える環境をつくることは、採用コスト削減(看護師1人採用には100〜200万円規模のコストがかかります)に直結します。患者が「この病院を選ぶ」空間をつくることは、稼働率の維持・向上につながります。どちらも「費用」ではなく「投資」として位置づけることが、中規模病院の経営戦略の核心です。
アートバイタルは、病院の広報のサポートを通じて、この「選ばれる病院」づくりを支援します。
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