令和8年度改定で、医療従事者の賃上げ支援がさらに強化されます。処遇改善に取り組む病院は増えていますが、それが求職者に伝わっているかどうかは、また別の話です。
「賃上げに取り組んでいるのに、採用に繋がらない」「働き方改革を進めているが、求職者からの応募が増えない」
——こうしたお悩みを抱える病院の人事・採用担当者の方も多いのではないでしょうか。制度面での対応と、それが求職者に届いているかどうかは、まったく別の問題です。
令和8年度診療報酬改定では、賃上げ対応が大きな柱の一つとなっており、ベースアップ評価料の見直しや対象職員の拡大が示されています。看護補助者や事務職員を含む幅広い職種を対象に、令和8〜9年度にかけての処遇改善支援が打ち出されており、医療機関全体として取り組みが求められる内容です。
「やっている」と「伝わっている」の大きなギャップ
多くの病院が処遇改善に取り組んでいますが、採用サイトや採用パンフレットを見ると、「給与・待遇」の欄に数字が並ぶだけ、という場合が少なくありません。給与の数字は大切ですが、求職者が本当に知りたいのは、「この病院で働いたら、どんな職場環境が待っているのか」「自分の将来はここで描けるのか」という感覚的・具体的な情報です。
給与改善を「数字」だけで伝えている病院と、「なぜ取り組むのか・どんな職場を目指すのか」まで伝えている病院では、求職者の印象が大きく変わります。採用広報で伝えるべき「処遇改善の文脈」
診療報酬改定による処遇改善を、採用広報で活かすためには、単に「給与が上がりました」ではなく、その背景と職場環境をセットで伝えることが重要です。
なぜ処遇改善に力を入れているのか(経営方針・職員への考え方)
業務効率化やチーム医療の取り組みで、働き方がどう変わっているか
教育体制・キャリア支援の充実ぶり(資格取得支援、研修機会など)
育児・介護との両立支援、休日取得の実態
職員が実際にどんな環境で働いているか(スタッフの声・インタビュー)
これらを採用サイト、採用パンフレット、就職説明会の資料などで丁寧に整理することが、採用競争力の向上に直結します。特に、「スタッフの生の声」は求職者の信頼感を高める力があります。
職種ごとのターゲット設計も重要
たとえば、次のようなページや情報が整理されていると、患者さん・ご家族の不安を大きく減らすことができます。
今回の改定では、看護師だけでなく、看護補助者や事務職員も処遇改善の対象として拡大されています。これは採用広報においても、看護師向けだけでなく、コメディカルスタッフや事務・管理部門のスタッフ向けにも、働く環境のアピールを強化するチャンスを意味しています。
「この病院ではどんな仕事をするのか」「どんな仲間と働くのか」「どんな成長機会があるのか」——職種ごとに求職者が気にすることは違います。それぞれに向けたコンテンツを丁寧に設計することが、採用の質を高めることにつながります。
POINT
診療報酬改定による処遇改善は、採用広報を一から見直す「正当な理由」でもあります。「改定に合わせて採用ページをリニューアルした」という取り組み自体が、組織の前向きな姿勢を伝えるメッセージになります。
最終回となる次回は、このシリーズ全体を振り返りながら、診療報酬改定を機にホームページ全体を見直すための視点をまとめます。
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